介護の仕事を辞めたい。でも、辞められない。
その理由が「給料」や「体力」だけならまだ整理がつくのに、多くの人を縛っているのは、もっとやっかいなものだと思います。自分が辞めたら、現場が回らなくなる。この気持ちです。
私自身、介護の現場に16年いました。そして、まさにこの「自分が抜けたら大変なことになる」という思いに、長いあいだ縛られていました。この記事では、その思い込みをどう手放して、辞める踏ん切りがついたのかを、正直に書きます。
辞められないのは、あなたがお人好しだから
はっきり言ってしまうと、「自分が辞めたら大変なことになる」というのは、半分は思い込みです。
介護職には、お人好しが多い。責任感が強くて、利用者さんのことも、一緒に働く仲間のことも、放っておけない。だからこそ、自分が抜けたあとの現場を想像して、辞める決断ができなくなります。
でも、冷静に考えてみてください。人手が足りない現場を、足りないまま回そうとしているのは、誰でしょうか。それは、会社の人員管理の問題です。あなたが一人で背負うべきことではありません。あなたの優しさに頼る形で、ギリギリの人数で現場が回されている。まず疑うべきは、その構造の方です。
現場は「人が減ること前提」で回されている
私がいた現場も、年々、人が減っていきました。
入った当初は、1フロアの日中の最低配置人数が3人。余裕のある日は3.5〜4人で組めることもありました。それが、辞める2年前には2人にまで減っていました。配置人数が減って業務量が増えても、報酬は据え置きです。
人の目が減れば、当然、死角が増えます。事故のリスクは上がる。なのに、増えるのは責任ばかり。何かあれば、現場の人間が問われます。
さらに言えば、給料の決まり方も理不尽でした。古い年齢給の制度で、階級も、責任も、仕事量も自分の方がずっと重いのに、年上というだけで相手の方が給料が高い、ということが平気で起きる。働きに見合っているとは、とても思えませんでした。
私が「辞める」と踏ん切れた瞬間
限界が近づいていたある日、決定的なことが起きました。
「もう辞めてやる」と心の中で思っていた、まさにその矢先。自分と同じように限界まで来ていた別の職員が、先に退職届を出したのです。
最初に頭をよぎったのは、「これじゃ、自分は辞められないじゃないか」でした。ただでさえ人が足りないのに、二人同時に抜けたら、現場はどうなるんだ。また、あの「自分が抜けたら」の思考に引き戻されかけました。
でも、そこで考え直しました。ギリギリの配置で現場を回しているのは、会社の問題だ。知らんわ、と。自分がここで踏みとどまっても、構造は何も変わりません。我慢を続けるほど、損をするのは自分だけ。そう思い切って、私も続けて退職届を出しました。
辞めた後、現場はどうなったか
気になるのは、辞めたあとのことだと思います。
結論から言うと、人員は減ったけれど、どうにかこうにか、仕事は回っているらしいです。あれだけ「自分が抜けたら回らない」と思っていたのに、です。
当たり前といえば、当たり前なのかもしれません。人が足りなければ、会社はどうにかするしかない。求人を出すなり、配置を見直すなり、なんなりと。居なくても、現場はどうにか回る。だったら、自分の方が大事。これが、16年勤めて私がたどり着いた結論です。
辞めると決めるのは、逃げじゃない
もし今、「辞めたいのに、自分が抜けたら申し訳ない」という気持ちで足を止めているなら。その罪悪感は、あなたが優しい証拠です。でも、その優しさを、限界まで自分をすり減らすことに使う必要はありません。
あなたが抜けても、現場はどうにかします。それより、自分の心と体を守ることを、先に考えていいんです。
辞めると決めるのは、逃げではありません。自分を大事にする、立派な選択です。今すぐ辞めるかどうかは別にして、次にどんな道があるのか、まずは情報を集めてみるところからでも、十分だと思います。
辞めた後にどんな選択肢があるのか、一人で抱えていると、なかなか見えてきません。まずは登録して、外の世界にどんな道があるのかを知るだけでも、気持ちはずいぶん軽くなります。

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